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私たちは川崎市内最大規模の公有地である、中原区の旧県立職業技術校跡地(1万3千㎡)に、認可保育園とスポーツができる防災公園の整備を提案しています。  その4つの理由は、①防災拠点を存続する、②この県有地の本来目的=青少年の健全育成、③地域の実情(子ども人口増加、保育園や運動広場の不足、④住民世論・アンケート結果です。
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神奈川県警は中原区下小田中の県立職業技術校跡地への警察官舎建設工事の着工を11月5日にも強行するとの情報が入りました。
 すでに同跡地の提供公園予定地には突然大きなプレハブ小屋(建設会社の現地事務所になると思われます)が建てられ、仮設トイレが並び、関係者の車の出入りも目立ってきました。

 着工を前に建設資材も運び込まれるのでしょうか。このまま建設が強行され、大型重機・ダンプなど建設関係車両の出入りが始まり、現場作業員の車通勤により朝方の交通量が増えると、通学時間の子どもの安全確保は大丈夫でしょうか。
  工事期間の交通安全対策などについて、地元小中学校、保育園・幼稚園、地域の子育て世代・保護者などへの説明もされていないようです。もし、そこで事故が起きたら、誰が責任をとってくれるのでしょうか。

 5月の川崎市環境アセスメント条例にもとづく5600通近い市民からの意見書は、いまだに計画そのものの中止・見直しを求める声が殺到。事業者が回答不能になり、「計画を立案した神奈川県警に伝えます」とボールを投げたのに、いまだに県民・住民への説明責任を果たそうとしません。

 住民の願いと住民世論を真っ向から踏みにじる計画をごり押すするばかりか、公共事業でありながら、周辺住民にきちんと説明するという建設工事のイロハもわきまえない神奈川県警。公有地のあまりに異常な使い方・進め方、まさに県政史上最悪の歴史的暴挙が強行されようとしています。

 9月中旬、住民3団体が県警本部長に説明に来るよう求める要請書を送付しましたが、これにもまったく応える気配がありません。その全文を掲載します。

神奈川県警察本部 本部長 久我英一 様
県立川崎高等職業技術校跡地への警察官舎建設について、早急に大規模な住民説明会を開催し、県警本部長、又は県知事が広範な市民に直接説明に来られることを求める要請書
 
 このほど、神奈川県警察職員宿舎整備運営事業についての説明会(9月25日)が開催されるとのことです。内容は、経過報告、集会所・提供公園の利用方法などで、狭い会場で参加対象を下小田中地区の会長等、一部の町会役員に限定した説明会とのことです。

 川崎市中原区の県立川崎高等職業技術校跡地への警察官舎計画に対しては各種アンケート調査でも8~9割以上が「中止・見直し」を求め、「白紙撤回」「中止・見直し」を求める署名は延べ約3万2千筆に達し、さらに川崎市環境アセスメント条例に基づいて今年5月に実施された市民意見の募集では、「中止」「見直し」「白紙撤回」など同跡地への官舎計画そのものを根本から問う意見書が5,600通近く寄せられるなど、県警の説明責任が果たされないまま、いまだに住民合意が得られていないのが現状です。

 しかし市民の意見書に対する開発事業者の見解書(回答)では、計画そのものを根本から問う市民からの多数の意見にまともに答えられず、「基本計画に関わる事項であるため、立案した神奈川県警に伝えます」とくり返すばかりで、市民の疑問はまったく解消されないままです。開発事業者から市民意見を伝えられ「ボールを投げられた」県警本部には、市民の意見・疑問に答える責任が発生しています。本来はこの5,600通近い意見を出した市民一人ひとりに県警本部がていねいに説明すべきです。

 そうしたなか、今回、地元下小田中1~6丁目の会長等一部の役員だけを対象にした小規模な説明会が開催されますが、これをもって住民説明を尽くしたなどと説明が終結され、11月に建設着工が強行されるようなことは絶対に許されません。そもそも、周辺住民・広範な市民は、市内最大規模の公有地の使われ方に対する是非(住民の意思)を地元町会の町会長に白紙委任しているものではありません。

 3万を超す署名、計画を根本から問う5,600通近い市民の意見書など広範な市民の世論にふさわしく、また、県民の財産である県有地(地価22億円余)で県内最大規模の警察官舎を建設する県の公共事業であることからも、数千人規模(せめて、エポック中原の大ホール等)での市民説明会を開催し、そこに県警本部長及び県知事が来て、広範な市民に直接説明する場を早急につくることを強く求めるものです。
 
2012年9月19日
■新日本スポーツ連盟神奈川県連盟
■技術校グラウンド利用スポーツ団体
■技術校跡地に保育園とスポーツ防災公園を求める会
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このほど住民・県民3団体が連名で送付した要請書を紹介します。


神奈川県緊急財政対策本部調査会  座長  増田寛也  様
神奈川県緊急財政対策本部本部長(知事)  黒岩祐治  様
 
「財政危機」理由に県有施設の原則廃止を打ち出す一方で
不要不急の巨大警察官舎建設の強行は絶対に許されない
 

―県民利用施設の廃止ではなく、県の財政対策というなら川崎市中原区での
新たな警察官舎建設の凍結・中止こそ決断することを求める要請書

 
 神奈川県は「県財政が破たんに陥る恐れがある」として有識者による「神奈川県緊急財政対策本部」と同調査会(神奈川臨調)を設置し、7月半ばに「中間意見」を発表しました。県有施設を3年以内に「原則全廃」、県下自治体の県民生活に欠かせない事業への県の補助金等も「全て一時凍結して見直す」との方向性を打ち出し、9月中旬にも最終答申を発表すると報じられています。

 廃止対象の県有施設には、県民のスポーツ活動の拠点施設になっている県立体育センター、スポーツ会館、武道館、県立音楽堂その他、川崎市内では県立図書館(川崎区)、東高根森林公園(宮前区)なども含まれています。また、入居者が94,000人以上、入居率93%で県民のニーズが高い県営住宅は、民間賃貸住宅の借り上げ方式や家賃補助方式などに転換し、必要性が低下した住宅は積極的に廃止し、県有地を売却するとしています。

 こうした県有施設と県民生活切り捨ての方針を打ち出す一方で、川崎市中原区の県立川崎高等職業技術校跡地(1万3,785㎡)に260戸・県内最大の巨大警察官舎の建設が強行されようとしていることは、きわめて重大な問題です。
 同跡地への警察官舎建設計画に対しては、複数の住民アンケートで「中止・見直し」を求める回答が8割~9割を占め、「白紙撤回」「中止・見直し」を求める署名は延べ3万筆を超えました。さらに今年初めて計画内容が発表され、川崎市が環境アセスメント条例に基づいて今年5月に実施した市民意見の募集では、官舎計画の「中止」「見直し」を求める意見書が5,600通近く寄せられました。同官舎計画はいまだに住民合意が得られず、周辺住民の圧倒的な反対世論のもとで年内にも建設が強行されようとしています。

 昨年12月、国が発表した『国家公務員宿舎の削減計画』は、「福利厚生、人材確保のための宿舎整備は認めない」とし、警察庁職員向けの宿舎も対象になっています。しかも政府が東日本大震災の集中復興期間とした5年間は「従来宿舎が存在しなかった土地において新規に宿舎を建設することは原則行なわず、最低限の現地建替えを行なう」という方針で、これには警察庁職員向けの宿舎も該当するとのことです。

 同跡地は川崎市内最大規模のまとまった公有地であり、地価22億2353万円(神奈川県の県有財産表より)もする県民の貴重な財産です。発表された警察官舎計画では、跡地の94%が警察官舎敷地として独占され、宿舎建物面積5,347㎡の他、警察職員の駐車場・路地等面積(入居者の子どもの遊び場含む)だけで7,610㎡も占めるなど、近隣マンションの住環境に比べても極めて贅沢・豪華な宿舎計画です。県有地を使って、地元の大戸小学校運動場の1.5倍もある「庭」をつくる理由は「入居者の子どもの遊び場を確保」(事業者選定の審査講評)する目的があることに対して、周辺の子育て世代・住民からは「少年野球や少年サッカーなど地域の子どもたちは活動場所を奪われたのに、県警にはあまりにひどい優遇策ではないか」「こんな官舎をつくって子どもも父母も地域で共生できるのか」と、大きな疑問と怒りが広がっています。「神奈川臨調」では県営住宅について「必要性が低下した住宅は積極的に廃止し、県有地を売却する。団地の集約・高層化等により余剰地を生み出し、売却益を得る」としていますが、そうした県民生活切り捨ての方向に照らしても、県警に対する特権的優遇、聖域扱いはきわめて異常です。

 さらに今回の官舎計画では、初めてPPP方式を採用して入居者の家賃収入で建設費も維持管理費も捻出するかのような説明をしていますが、これもごまかしです。広大な県有地(地価22.2億円)を事業者に無償提供して建設される警察官舎は、同種の民間マンション物件よりも、はるかに格安の家賃で入居できます。しかも、老朽化すれば入居率が下がるのは当たり前なのに、今後40年間「入居補償料」として入居率が9割を下回る分は税金で毎年穴埋めする仕組みを作り、事業者が絶対に損をしないレールを敷きました。

 「神奈川臨調」では県民向けの県の補助金を「全て一時凍結して見直す」としていますが、その一方で、同官舎計画では県警職員には広い庭で日当たり良好の新築住居を格安家賃で提供すると同時に、特定の大手開発事業者には地価22億円の土地(県有地)を無償提供したうえで財政面でも40年間にわたり利益を保証する「補助金制度」をつくる。これも県民生活切り捨ての方向と比べて、あまりにひどいやり方です。
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 以上の通り、川崎市中原区での巨大警察官舎建設計画は、県民世論を無視した県有地と税金の使い方が問題であるだけでなく、国の公務員宿舎削減方針や「神奈川臨調」の方向性とも自己矛盾を抱えた、まったく説明がつかない公共事業です。同官舎計画は県当局(財産管理課)と県警が一体になって進めてきた経過からも、「神奈川臨調」で「県警は例外」という説明は通用しません。もしも緊急財政対策本部・調査会(神奈川臨調)が、こんなにひどい官舎計画の凍結・中止を決断しないならば、同対策本部・調査会がどんなに「県財政危機」を強調しても、県民は誰ひとり納得できないでしょう。

 県の財政対策と言うならば、緊急財政対策本部調査会として、または知事の判断として、同警察官舎建設計画の凍結・中止こそ決断し、県民・住民の多数の意見・要求を聞いて跡地利用計画を抜本的に見直すよう強く求めます。既存の県民利用施設を保全し、拡充していくことこそ求めます。
 あわせて、同官舎計画への態度(凍結・中止・見直し等)について、財政対策本部調査会座長、又は、対策本部長である知事が、県民・周辺住民に対して、納得のできる説明を行なう場をつくるよう強く求めるものです。
 
 2012年9月14日
■新日本スポーツ連盟神奈川県連盟
■技術校グラウンド利用スポーツ団体
■技術校跡地に保育園とスポーツ防災公園を求める会

技術校グラウンドを使ってきたスポーツ団体が、川崎市議会に計画変更を求める請願書を提出しました。同団体の許可をもらい、全文掲載します。みんなで応援しましょう。

川崎市議会議長 大島 明 様
あまりにひどい計画内容が明らかになった旧県立川崎高等職業技術校跡地への警察官舎建設計画について、官舎敷地内の「庭」の部分7,610㎡を縮小するなど現行計画を見直し、県有地を有効活用して、防災機能を備えたスポーツ広場・運動広場の整備を求める意見書を県及び県警に上げていただくことを求める請願書

                       
提出日2012年6月26日  提出団体:旧職業技術校グラウンド利用スポーツ団体

                            
  中原区にある旧県立川崎高等職業技術校跡地(1万3,785㎡)への警察官舎建設計画について、今年1月、初めて具体的な計画が明らかになりました。警察職員宿舎の建物面積(260戸、集会所含む)は5,347㎡で、警察職員の駐車場・路地面積等いわゆる「庭」の部分だけで7,610㎡を占めるなど、同跡地の94%が警察官舎敷地となっています。
  初めて発表された計画内容とこれまでの進捗の経過から、以下のような重大な問題点が明らかになり、住民要望を川崎市議会として、あらためて県に上げていただく必要性が生まれています。

 
(1)少年野球もサッカーもできない、「大きい地域開放型公園」と言えない公園
 

  もともと職業技術校の土地は、「青少年の健全育成」という目的で当時の地主さんが県に提供したもので、同校の体育館とグラウンドは少年野球・少年サッカーをはじめ、ママさんソフトボール、ママさんバレー等、年間1万人以上が利用する地域のスポーツ活動の拠点施設でした。そうした経過から、かつて町会の請願や川崎市議会の「意見書」で「市民に親しまれる、できるだけ大きな地域開放型の公園整備に努めること」が要望されていましたが、出された計画では、公園は川崎市の条例で義務付けられている最低限の提供公園面積6%(828㎡)にとどまっており、多くのスポーツ団体・住民の期待を大きく裏切るものになっています。
 800㎡程度の児童公園では、少年野球もサッカーも出来ません。「できるだけ大きな地域開放型公園」とはとても言えません。現行計画を見直し、「庭」の部分を縮小して、少年野球・サッカーが使える運動広場・グラウンドをつくるよう求めてください。

(2) 7,610㎡の「庭」で警察職員の子どもだけの遊び場づくりは許されない

 上記の通り、少年野球・少年サッカーなど地域の子どもたちは代替施設も用意されず、運動広場を奪われたのに、その一方で、今回の計画は「歩行者専用エリアを設けることで、入居者の子どもが安心して路地遊びができることを高く評価した」(事業者選定の審査講評)として、地上面の駐車場・路地等で7,610㎡という広大な「庭」が確保され、警察職員の子どもだけの遊び場を県有地で十分に確保するというものです。
  7,610㎡といえば、地元大戸小学校の運動場5,114㎡の1.5倍の面積です。わずか800㎡余の小さな提供公園も、地域のためというより、結局、官舎入居家族の幼児・子どもの遊び場になる可能性が高く、このような不公平・不平等な県有地の使い方に対し、地域の子育て世代、親から新たな怒りが広がっています。
 警察職員の子どもであれ、地域の子どもであれ、一緒に遊べる運動広場をつくってこそ、地域との共生が可能になります。その立場から運動広場・広い公園をつくるよう、あらためて「できるだけ大きな地域開放型の公園整備」を求めてください。

 
(3)「敷地半分は地域のために利用を」との町会要望の無視は許されない

 これらの計画は、かつて地元下小田中の5丁目町会長・婦人部長、1~6丁目までの町会長等が平成18年11月29日、県副知事に会って「警察が利用するのは承知だが、敷地半分の2,000坪(6,600㎡)位は地域のために使うスペースとして利用すべきとの強い申し入れ」「集会所はもちろん、警察が使わない部分では文化スポーツ施設、公園緑地等の施設要望がされた」(民主党県議ホームページより)という経過や要望をまったく無視したものです。
 現行計画を見直して「庭」の部分を縮小すれば、これらの町会要望に応えることは可能であり、その立場から市議会から県に要望してください。

(4)「適正な施設規模や配置にとどめる」とした前知事の意向の無視は許されない

 かつて県議会で松沢成文前知事は、「川崎高等職業技術校跡地については地域住民の請願を受けた川崎市議会や川崎市から…広い公園の整備など地域に根差した要望が提出されている。県有地は県民全体の共有財産である。厳しい財政状況を踏まえた適正な施設規模や配置にとどめ、可能な限り、県有地の効率的な活用を図っていく」と答弁していました(09年12月7日)。
 今回の計画内容は、どう見ても、そうした前知事の意向を無視した施設規模と配置です。県有地を県民のために有効活用させ、住民要望にこたえるよう現行計画の見直しを求めてください。

(5) 日照や圧迫感などへの近隣住民の怒りを受けとめ、敷地いっぱいの宿舎見直しを

 市議会からの意見書では「近隣建物の日照に十分配慮した整備に努めること」を求めていました。ところが発表された配置図では、東側4階建ての独身寮、南側の世帯寮とも、敷地ギリギリまで建てられる計画です。川崎市環境アセスメント条例に基づき開催された関係住民説明会では、近隣住民から「うちは目の前に4階が建ったら部屋から何も見えない。独身寮の部屋だけしか見えない。独身寮は無くして、そこに公園をつくってほしい」との声や、「長く住んでいる人間は一生なんです。我々は自分のお金で建てた家ですよ。それが日照も何も真っ暗です。4階建てを建てられたら、それでずっと一生続くというのはもう耐えられません。圧迫感があります。本当に精神的に苦痛です。まわりに住んでいた人には、ものすごい負担です」という声、「あれだけの広さの土地があって、その広さにめいっぱい建てようと思うからこういう計画が立つのです」など、その宿舎配置計画に怒りの声があふれました。
  市議会の意見書での要望がまったく無視されている計画に、市議会として黙っているわけにはいかないのは当然だと考えます。この点からも、近隣住民の切実な声にこたえて、現行計画を見直すよう求めてください。

(6) 切迫する首都直下地震に備えて、オープンスペースの確保・防災機能を

 首都直下地震の切迫性が指摘され、川崎市域では中原区と高津区で震度7になるとの予測もあり、防災対策の抜本的な拡充が求められています。両区にまたがる地域にある同技術校はもともと川崎市の地域防災計画で「震災時の医療・給水など他都県市からの応援の活動拠点」に指定されていましたが、その指定から外され、代わりの場所も確保されていないことは重大な問題です。
 東日本大震災の経験からも、もし首都直下地震など大災害が起きれば、一定規模のオープンスペースがどうしても必要になります。人口急増の下小田中地域で一定のまとまった用地は、小中学校以外には技術校跡地しかありません。運動広場・グラウンドができれば、震災時の一時避難場所や延焼防止帯、備蓄倉庫の設置場所など防災の役割を果たす広場空間・オープンスペースを確保できます。そうした防災対策の立場からも、現行計画の見直しを求めてください。

 
(7) 市議会「意見書」で要望された説明責任を果たさないままの強行は許されない

 川崎市議会の意見書では「建設計画や進捗状況の詳細等について地域住民に対する情報提供に努めること」が求められていましたが、この要望がまったく無視されたことは黙っているわけにいかないのではないでしょうか。
 住民説明会の開催状況は今年1月、約2年ぶりに開かれるまで技術校の解体工事を含めてわずか4回だけでした。それも昨年12月末に事業者と契約を締結してレールを敷いてから事後報告的に開催するという、市内最大規模の公有地を使う公共事業なのに、だれが見てもひどい進め方です。具体的な計画内容は今年1月に初めて公表されたばかりであり、上記のような様々な重大問題が浮上しているのに、住民への説明責任が果たされず、逃げ切って建設を強行しようとしていることは絶対に許されません。市議会として、今からでも住民への説明責任を果たさせ、広範な住民の意見を十分に聞く場を設けるよう、強く求めてください。

(8)「従来宿舎がなかった土地に新規建設しない」という国の方針に逆行。
   「県有施設を原則廃止」と言いながら、警察官舎の新規建設は理解できない


 このほど、県の緊急財政対策本部調査会が、「財政危機」を理由に、警察・学校を除くすべての県有施設を「3年間で原則廃止」、県から市町村への補助金等も「一時凍結して見直す」という方向性を打ち出しました。これが実行されれば、市民生活に計り知れない影響が予想されます。
 また、国が昨年12月発表した「国家公務員宿舎の削減計画」は、「福利厚生、人材確保のための宿舎整備は認めない」とし、しかも政府が東日本大震災の集中復興期間とした5年間は「従来宿舎が存在しなかった土地において新規に宿舎を建設することは原則行なわず、最低限の現地建替を行なう」としており、これには警察庁の宿舎も対象といわれています。
 このような県の動きや国の動きに照らしても、従来宿舎が存在しなかった同技術校跡地への大規模な警察官舎の新築は、きわめて異常ではないでしょうか。こうした立場から川崎市議会として、現行の官舎計画を見直すよう求めてください。

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 以上のように、以前に川崎市議会が全会一致で県知事及び県警本部長に上げた意見書の4項目の要望のほとんどが無視されていること(上記の1、5、7の項目)、地元町会の要望や、前知事の意向も無視されていること、その後、未曾有の犠牲を出した東日本大震災が発生し、首都直下地震の切迫性が指摘されるなか、災害に強いまちづくり・防災の観点からも、同跡地への現行計画をこのまま進めることはあまりに重大な問題が多すぎるといわなければなりません。
 しかし、これらの多くの問題は、官舎計画の中の「庭」の部分7,610㎡を縮小して現行計画を見直すことによって、スポーツ活動や子どもたちがのびのび遊べる運動広場、震災時に地域住民の避難場所になる広い公園をつくることは十分可能であり、そうすれば同時に「敷地半分を地域のために」という町会の要望にこたえることも可能です。
 以上の立場から、川崎市議会におかれましては、上記(1)~(8)項目で指摘した問題点と住民要望を盛り込んだ意見書を神奈川県知事及び神奈川県警本部長に上げていただき、同跡地での現行の警察官舎建設計画を見直して、県有地を有効活用し、防災機能を備えた運動広場・広い公園を確保するよう努めることを強く求めるものです。

以 上

川崎市長 阿部孝夫様/総務局長 船橋兵悟様/総合企画局長 飛騨良一様
まちづくり局長 金子 弘様/環境局長 稲垣 正様
公有地を使う公共事業なのに進め方があまりに乱暴―中原区の県立技術校跡地への警察官舎建設計画について、川崎市から神奈川県警に対し、公的責任を果たさせ、地域での十分な協議と広範な住民への説明責任を果たさせることを求める要望・質問書

2012年4月12日
技術校跡地に保育園とスポーツ防災公園を求める会

                                        
 中原区の県立川崎高等職業技術校跡地(1万3785㎡)への警察官舎建設計画は、市内最大規模の公有地の使われた方が問われている重大な問題です。
 3月26日から川崎市環境アセスメント条例にもとづく同事業のアセス書の縦覧と意見募集が始まっていますが、同跡地への警察官舎建設は、民有地における民間マンション建設とは根本的に違います。市内最大規模の公有地を使う公共事業であり、神奈川県と県警には、民間事業者の開発行為にはない公的責任、社会的責任があります。

  同跡地について川崎市長から県への要望書は「地域の実情を踏まえた有効活用が図られるよう十分な協議がなされるよう要望する」とし、川崎市議会から県への意見書でも「建設計画や進捗状況の詳細等について地域住民に対する情報提供に努めること」が求められていました。ところが住民説明会はこれまで技術校の解体工事を含めてわずか4回だけでした。今年1月末の説明会は約2年ぶりです。それも昨年12月末に事業者と契約を締結してレールを敷いてから事後報告的に開催するという、ひどい進め方です。

 今年1月末の説明会で初めて計画内容が住民に公表され、「なぜここに警察官舎なのか」「既存の官舎を建て替えればいいのでは」「大震災が起きたのに見直さないのか」など計画そのものへの疑問が次つぎと出される状況で、その答えは未解明のままです。
 4月7日と9日の夜、環境アセス条例にもとづく関係住民向けの説明会が開かれましたが、そこでも工事・供用後の環境問題だけでなく、計画そのものへの疑問・批判の意見があふれる状況です。県警が、地域での十分な協議と住民への情報提供を求めた川崎市と市議会の要望をないがしろにしてきた結果が、そうした計画そのものへの疑問・批判がいまだに殺到する要因にあります。このまま9月着工など、まったく論外です。

 こんなに住民説明が不十分で住民合意の得られていない計画にもかかわらず、事業届けや環境アセス条例などの従来の手続きを経れば事業が淡々と進められるようなことは、この広大な公有地を使う公共事業においては通用しないと考えます。こういう時こそ地元自治体である川崎市が住民の立場にたって、神奈川県警に今のひどい進め方の是正を求める時です。(計画内容と進め方の様々な問題点については別紙・会のニュースを参考にしてください)

 以上のことから、川崎市長並びに関係局の局長から、次の項目について神奈川県と神奈川県警本部など関係機関に強力に要請していただくとともに、それぞれについてどう対応するのかを回答してくださいますよう、お願い致します。

【要望・質問項目】
① 9月着工にこだわらず、下小田中6町会の丁目別や、隣接地域の新城、井田、上小田中、高津区の一部(明津、子母口等)を含めた周辺町会、技術校施設を利用していたスポーツ団体、地元小中学校PTA、団体・個人等を対象にして、今から県警本部が主催して、きめ細かく住民説明の場をつくるよう川崎市から要請してください。

② 住民への説明責任を果たさない県警と、十分な協議と説明責任を求める住民との間に入って、地元自治体である川崎市が主催して、きめ細かく、広範な住民を対象にした住民説明会を開催してください。

③ 私たちの会など住民有志の団体、市民団体等が主催する説明会に同計画を立案した県警本部の責任ある幹部職員が出席して説明し、質疑応答に応じるよう、川崎市から県警本部に求めてください。

④ 切迫性が指摘されている首都直下地震では川崎市とりわけ中原区と高津区が震度7になると予測されており、両区にまたがる地域に位置する市内最大規模の公有地=技術校跡地は、川崎市民の安全を守るために、オープンスペースを確保した防災拠点にすべきです。
 ところが官舎計画によって、川崎市の地域防災計画で指定されていた「震災時の医療・給水など他都県市からの応援の活動拠点」から外されたことは重大な問題です。計画では、市の基準でも同跡地周辺が未充足地域になっている耐震性防火水槽(県有地への設置も可能)や防災備蓄倉庫も設置されず、一時避難場所になるオープンスペースの確保など地域防災の機能が何もないことがわかりました。
  これらの問題について、県警本部は「防災対策は川崎市がやること」と川崎市に任せる見解ですが、同事業にあたり、上記に示した地域防災の機能・設備の整備について、川崎市と県警本部はどのような協議を行なっているか、現在の協議・検討状況を教えてください。まだ協議を行なっていない場合、今後の対応をどうするのか、お答えください。
                          以上                
 

神奈川県知事 黒岩祐治 様               
発表された計画内容も、進め方もひどい県有地の使い方、住民世論を無視した公共事業、川崎市での警察官舎建設計画の凍結、中止・見直しを求める緊急要望と質問書
 

2012年3月15日   技術校跡地に保育園とスポーツ防災公園を求める会
 
 県有地は県民の税金で保有・維持されている、私たち県民みんなの財産です。とりわけ川崎市内最大規模の県有地である旧県立川崎高等職業技術校の跡地(中原区下小田中5丁目)の使われ方は、幅広い住民・川崎市民にとって全世代にわたる大きな問題です。
  同跡地への巨大警察官舎建設計画について、今年1月30日、小規模な住民説明会が開かれ、初めて具体的な建設計画案が公表されました。
 初めて知らされた計画内容、これまでの進め方、税金の使い方など多くの問題点から、私たちはあらためて警察官舎建設計画の凍結、中止・見直しを求めるものです。知事が県民の立場にたって現計画を中止させることを強く求めます。
 以下、問題点を指摘し、最後に知事への質問を添えました。回答期限は遅くとも2週間後の3月29日(木)までに文書で知事の見解をまとめたうえ、ご回答くださいますようお願いいたします。 
  なお、この重大問題について知事の見解・回答がまとまるまで、アセス手続きなど一連の事業手続きを凍結するよう県警に指示することも、あわせて要請いたします。                                                             
 
初めて発表された具体的な計画で明らかになった、いくつもの重大な問題点
 
(1)「防災活動拠点」をつぶして、広大な県有地に警察官舎を
建設するのに、防災機能・設備は何もない

 戦後未曽有の被害・犠牲者を出した東日本大震災を受け、私たちが提案してきた「跡地を防災公園に」の声がいっそう高まっています。「4年以内に70%の発生確率」など首都圏直下型地震の切迫性も指摘されています。
県警は、「大地震等災害時における集団警察力を確保」「防災に配慮する」などと言ってきましたが、今回発表された計画では、防災機能・防災設備が何もないことが明らかになりました。このことはきわめて重大な問題です。
 広大な県有地を使う警察官舎の敷地内には、防災備蓄倉庫、耐震性防火水槽、災害用応急給水槽もなく、震災時の住民の一時避難スペース、震災時の支援物資の支給・保管スペースも確保されず、震災時の仮設住宅建設用地、防災公園の検討もされませんでした。
 このことについて県警は、「防災備蓄対策等は地域防災計画に基づき川崎市で対応すること」などと述べ、防災対策の責任を川崎市に押しつける態度です。「地域防災計画」を言うならば、これまで川崎市の地域防災計画で、同職業技術校が「震災時の他都県市からの応援の活動拠点」に指定されていたのに、官舎計画によって、その指定から外されたことへの責任こそ問われます。
 自治体が指定している防災拠点をつぶして警察官舎が建てられた事例は全国にありません。

 県民のいのちと安全を守るべき県警が、従来から指定されていた「防災活動拠点」、いざというとき住民の避難場所になる広場をつぶして、あの大震災を経ても、防災機能、防災施設を何もつくらない―このような「災害に弱いまち」にする計画は中止すべきです。
 
(2)あまりにひどすぎる、県有地(県民財産)のムダな使い方
~跡地の92%を県警が独占、県有地で「警察のまち」をつくる

 今回初めて発表された警察官舎の具体的計画・配置図も、きわめてひどい内容です。
技術校跡地の総面積1万3785㎡のうち、1万2742㎡(92.4%)を警察官舎の敷地として独占(その他は6%の提供公園と集会所216㎡)。宿舎5棟の建築面積は5,540㎡で、地上面の駐車場・駐輪場や路地だけで7,202㎡を占めるという計画です。
 
◎官舎内の駐車場・路地面積だけで7,200㎡、市民要求に使えば…
 同じ中原区内の市立小学校・中学校の面積(添付資料)と比べても、公有地のムダな使い方、もったいない使い方は一目瞭然です。警察官舎内の駐車場・路地面積7,202㎡よりも運動場・校庭が狭い小学校は18校中11校(その他、同規模が4校)、中学校では8校中4校あります。
 園庭付きで定員120名の認可保育園は1ヵ所1,200㎡、定員120名の特別養護老人ホームは1ヵ所3千~4千㎡あれば建設できます。少年野球場は4,000~6,000㎡、少年サッカー場は約4,000㎡あれば出来ます。
 震災時、消火活動に不可欠な耐震性防火水槽も、用地の確保が困難で増設が遅れています。同跡地の周辺はちょうど消防水利の未充足・空白地域に該当しますが、土地所有者の占用許可があれば、県有地でも設置は可能です。
 このように、運動広場、防災設備、子育て、教育、福祉施設など、市民のための公益性の高い施設の多くは、まとまった用地がなくて整備が進まず不足しているものばかりです。だから川崎市議会からは、県有地を保育園・特養ホーム整備のために優先的に提供するよう求める意見書が県に提出され、市当局も県に対し、保育園・特養ホームなど社会福祉施設のために県有地を無償貸与するよう要望を出しているのです。
 
(3)「地域開放型公園」と言っていたのに、運動広場は整備されず
少年野球、少年サッカー、子どもたちの願いを踏みにじる

  もともと職業技術校の土地は、「青少年の健全育成」という目的で当時の地主さんが県に提供したという経過や、同校のグラウンド・体育館は、少年野球や少年サッカーなど年間1万人以上が利用する、地域のスポーツ・コミュニティ活動の拠点施設だったという経過もふまえて、町内会や市議会からも「地域開放型公園」の要望が出され、私たちも「スポーツ防災公園」を要望してきました。しかし発表された計画では、市の条例で義務付けられている6%の小さな提供公園(827㎡)だけで、これには落胆の声があがっています。
 現計画でゆとりの空間を確保した宿舎棟を寄せ集めて、駐車場の地下化・立体化するなどの工夫をして、その駐車場・路地面積7千㎡余を有効に使えば、まとまった「運動広場」をつくることは十分可能です。
  昨年8月に施行された「スポーツ基本法」でも、「地方公共団体の責務」が位置づけられ、スポーツ施設の整備に努めるよう求めています。同跡地を有効活用し、少年野球、少年サッカーなどスポーツ団体が強く要望している「運動広場」をつくるべきです。

◎跡地の暫定利用さえ認めなかった神奈川県警の社会的責任
 技術校グラウンドを追い出された少年野球・少年サッカーの子どもたちは、遠方の多摩川河川敷まで行かなければ練習が保障されない、練習回数を減らす、低学年は入部させないなどの影響を余議なくされました。数十人の子どもが自転車を連ねて遠くに移動するのは大変危険を伴い、実際にかつて多摩川に向かう移動中に野球少年の死亡事故が起きているだけに、関係スタッフ・保護者は大変な苦労と心配を強いられています。
スポーツ団体が同跡地の暫定利用を何度も要請し、川崎市からも「暫定利用に配慮されたい」と県に要望も出していましたが、県警はそれを拒否し、3年余も空き地を遊ばせました。
 県警は交通安全の確保に最大の責任をもっています。子どもたちの交通安全、事故に遭う危険性を回避するための協力に応じなかった県警の責任はきびしく問われます。
 
(4)「適正な施設規模や配置にとどめ、可能な限り、県有地の
効率的な活用を図る」とした前知事の意向を無視

  松沢前知事は2009年12月7日、県議会で次のように答弁しました。
「川崎高等職業技術校跡地については地域住民の請願を受けた川崎市議会や川崎市から、県に対し、警察待機宿舎の整備に合わせて、集会所として利用できる場の確保や広い公園の整備などの地域に根差した要望が提出されていることは承知しております。県有地は県民全体の共有財産でもあります。厳しい財政状況を踏まえた適正な施設規模や配置にとどめ、可能な限り、県有地の効率的な活用を図っていくことも重要と考えております」。
これまで述べてきた通り、現計画は、この前知事の意向・公式見解をまったく無視した内容であることは否定できません。市民や子どもたちの切実な願いや地元自治体の要望だけでなく、前知事の見解をも無視した、ムダな県有地の使い方は許されません。ただちに、適正な施設規模や配置にとどめ、有効活用するよう計画を見直すべきです。
 
(5)その他の問題点
 
◎警察職員の子どもだけの遊び場をつくるのではなく、
地域の子どもたちと一緒に遊べる「運動広場」をつくるべき

 発表された官舎計画は、「下小田中地区(の宿舎)は歩行者専用エリアを設けることで、入居者の子どもが安心して路地遊びができることを高く評価した」(事業者選定の審査講評)とされています。少年野球や少年サッカーの子どもたちは活動の場を奪われたのに、警察職員の子どもの遊び場は県有地で十分に確保するという計画です。
 これは、周辺には子どもがのびのび安心して遊べる広場がないことを県警も認識しているということです。県有地を使って警察職員の子どものためには広い遊び場をつくるが、地域の子どもにはつくらないという道理はありません。
警察職員の子どもであれ、地域の子どもであれ、同じ広場で一緒に遊んでこそ、地域との共生ではないでしょうか。
 
◎警察職員が保有する大量のクルマ・自転車で、交通事故の危険性が増す
 同跡地の周辺は車の交通量も少ない閑静な住宅街でした。ところが発表された計画では、官舎敷地内に職員家族用の駐車場109台、バイク置き場36台、駐輪場433台分が整備されます。建設期間の工事車両の出入りによる危険だけでなく、完成後は警察職員家族が保有する大量の車両と交通量の増加で、地域の子どもたちが交通事故に遭遇する危険性が増すのではないでしょうか。
 警察の開発行為により、地域の子どもたちの危険が増す、安全が脅かされるようなことは許されないことです。
 
公有地を使う公共事業にもかかわらず、住民無視・住民不在のひどい進め方
 
 同跡地への警察官舎建設は、民有地における民間マンション建設とは根本的に違います。市内最大規模の公有地を使う公共事業です。だからこそ川崎市からは「高等職業技術校など従来の利用形態に変更がみられる県施設や土地については、地域の実情を踏まえた有効活用が図られるよう十分な協議がなされるよう要望する」と県に要望書が出され、市議会から県への意見書でも「建設計画や進捗状況の詳細等について地域住民に対する情報提供に努めること」を求めていました。
 
(1)住民の意見を聞く場を設けず、説明責任を果たさず
  ところが約2年ぶりに開催された今年1月まで、住民説明会はこれまで技術校の解体工事を含めてわずか4回だけでした。しかも昨年12月末に事業者と契約を締結してレールを敷いてから今年1月に事後報告的に説明会を開催するという、住民無視のひどい進め方です。県警施設課はかつて「実施方針」公表後にすぐ住民説明の場をつくると約束していたのに、昨年3月「実施方針」を発表した後も、今年1月まで開催されませんでした。
 このことについて「このたび事業者が決定し、具体的な配置図等施設概要を示すことができるようになったころから住民説明会を開催した」などと何の反省もありません。公有地での公共事業であり、本来は事業者を決定する前、具体的な配置図が作られる前に、広く住民の意見・要望を聞く場を設けるのが、民主主義のルールです。
 住民には今年1月の説明会で初めて計画内容が公表されたばかりです。その1回だけで説明を打ち切ることは絶対に認められません。以下に指摘する点からも、幅広く住民の意見を聞く説明会を開くべきです。
 
◎町内会で住民が「警察官舎の賛否」を確認された機会は一度もない
 県警が「町内会は受け入れている」かのように言うのは間違いです。下小田中1~6町会は延べ約9千世帯、人口23,740人(平成23年12月末現在)にのぼります。これだけ広大な公有地を使う公共事業計画にもかかわらず、町会として「警察官舎の賛否」を全町会員・全住民規模で聞くような場は一度もありません。町会として住民の意向調査を行なったこともありません。市内最大規模の公有地にふさわしく、中原区や高津区の広範囲の町会、各種団体などを対象に、今からでも幅広く大規模に住民の意見を聞くべきです。
 
◎子育て環境への影響を検討せず、学校・保育園等にも説明なし
 この周辺は保育園や幼稚園にも入りにくく、小学校・中学校のさらなる過密化(西中原中学校は日本最大のマンモス校)など、地域の子育て・教育環境に影響が出るのではと、子育て世代からも心配の声があがっています。
世帯向け(ファミリー)180戸計画は、巨大マンションが出現するような規模であり、県警の開発行為による人口増加なのに、保育園・幼稚園の需要増加見込みや近隣の小中学校の入学見込み数なども明らかにされていません。
これについて県警は「教室数に不足は生じない」などと述べていますが、国も市もめざしている少人数学級の拡大など、よりよい教育環境をつくる課題に無関心です。しかも、この地域の深刻な保育園・幼稚園不足への影響は無視しています。
 地域の子育て支援施設、地元の小中学校PTAなどにも何の説明もないことは問題です。こうした子育て世代への丁寧な説明、意見聴取もしっかり行なうべきです。
 
(2)「白紙撤回、中止・見直し」署名は3万筆、アンケートで8~9割以上が警察官舎建設に反対―住民世論に真っ向から反する計画
  町内会でも一般の住民は一度も賛否を聞かれないまま計画が進められていますが、そうしたなかで、住民世論がはっきり示されているのが、この間の数万単位の署名と再度の住民アンケートの結果です。
警察官舎建設の「白紙撤回」「中止・見直し」を求める署名は延べ3万筆を超えました(県知事・県警、県議会、川崎市長、市議会あて)。2度にわたる住民アンケートで常に8~9割以上が警察官舎建設の「中止・見直し」を求めています。
 都道府県の警察施設の整備・新設にあたっては、周辺住民への説明責任・合意形成などの留意事項について、警察庁(長官官房給与厚生課)は「やはり周辺の住民とは良い環境を保つ必要がある。都道府県で、適切な対応が行なわれる」べきと述べています。住民世論がこれだけ明確に反対するなかで、説明責任も果たさないまま建設が強行されるならば、周辺住民と良い環境をつくることは不可能ではないでしょうか。
 
 「県財政危機」と言いながら、税金の使い方がおかしい
 
 知事は今年2月17日、「港の見える丘公園」近くの県有地約3千㎡に予定していた知事公舎の建設計画を中止し、土地を売却するとの方針を発表しました。15年前に用地取得し、3代にわたる知事が必要性を検討し、すでに設計費1200万円、維持管理費には年間50万円~100万円を要してきた計画を、県の財政状況を踏まえて「借り上げ公舎で不都合はない」と判断し、中止を決断したとのことです。すでに前知事が県財政危機を理由に県職員宿舎の全廃方針を発表し、順次廃止が進められています。
 それだけ「県財政危機」が叫ばれるなかで、今回の計画は「独立採算型の仕組みを導入」したを装い、実は際限ない税金投入のレールを敷いたことは見過ごせません。

(1)土地代無料で家賃は安く、赤字穴埋めで40年間も事業者に税金投入できるレールが敷かれました 
 今回の事業手法(PPP方式)では税金をかけずに入居者の家賃収入で建設費も維持管理費も賄うかのような説明をしています。しかし広大な県有地を事業者に無償貸与して建設される警察官舎は、民間マンションより、はるかに格安の家賃で入居できるはずです。
 また、老朽化すれば入居率が下がるのは当たり前なのに、今後40年間、「入居補償料」といって入居率が9割を下回る分は税金で毎年穴埋めし(債務負担行為)、事業者が絶対に損をしない仕組みをつくりました。
「県財政危機」と言いながら、こんな税金の使い方に県民の理解は得られません。
 
(2)「従来宿舎が存在しなかった土地に宿舎を新規建設しない」国や警察庁の動きにも逆行する異常な計画
  国が昨年12月発表した『国家公務員宿舎の削減計画』は、「福利厚生、人材確保のための宿舎整備は認めない」とし、警察庁職員も対象になっています。しかも政府が東日本大震災の集中復興期間とした5年間は「従来宿舎が存在しなかった土地において新規に宿舎を建設することは原則行なわず、最低限の現地建替を行なう」という方針ですが、そこには警察庁職員の宿舎も含まれています(財務省の説明)。
こうした国や警察庁の動きにも反して、いま神奈川県警がやろうとしている巨大警察官舎建設は、きわめて異常な計画であり、神奈川県政、神奈川県警の歴史にも重大な汚点を残す公共事業です。今からでも、凍結、中止・見直しを決断すべきです。
                                          
《知事への5つの質問項目》
 これまで問題点を指摘してきたことをふまえ、次のことについて知事のお考えを質問いたします。ご回答をくださいますよう、お願いいたします。
 
(1)「中止・見直し」「白紙撤回」を求める署名は延べ3万筆にのぼり、住民アンケートで8~9割以上が警察官舎建設に反対するなかで、住民世論に真っ向から反する公共事業計画です。東日本大震災を受けても、それ以前に考えてきた官舎計画に固執してやめようしない県警など関係部局にブレーキをかけられるのは知事しかいないと思います。今からでも凍結・中止・見直しを指示すべきと考えますが、知事はどうお考えですか。
 
(2)市内最大規模の広い公有地で、警察官舎計画そのものも問題ですが、現計画では、宿舎建物の面積5,500㎡に対して駐車場・路地面積だけで7,200㎡を占めるなど、市民要求との関係でも、きわめて、もったいない公有地活用になっています。
こうした県有地の使い方は、前松沢知事が技術校跡地の使い方について県議会で述べた「県有地は県民全体の共有財産でもあります。厳しい財政状況を踏まえた適正な施設規模や配置にとどめ、可能な限り、県有地の効率的な活用を図っていくことも重要と考えております」という見解と相反すると思いますが、現知事はどうお考えですか。
 
(3)東日本大震災の経験・教訓をふまえ、現計画での非効率的・ムダな県有地の使い方を見直し・変更させ、県民の防災ニーズの高まりにもこたえるため、同跡地に防災拠点・避難地となる運動広場をつくり、大規模な防災備蓄倉庫、耐震性防火水槽、災害用応急給水槽などの整備、震災時の支援物資の支給・保管スペース、震災時の仮設住宅建設用地などを確保させるべきと思いますが、知事はどうお考えですか。
 
(4)市内最大規模の公有地(県有地)での公共事業にもかかわらず、これまで住民の意見を聞く機会がほとんど設けられず、住民と十分な協議を行なうことなく、建設を強行するのは民主主義に反し、こうした進め方を是正させるべきと思いますが、知事はどうお考えですか。
 
(5)「県財政危機」が叫ばれ、税金の使い方がきびしく注目されています。同官舎計画では、老朽化すれば入居率が下がることがわかっていながら、「入居補償料」として赤字穴埋めに40年間も事業者に税金投入できる仕組みをつくりました。「県財政危機」と言いながら、矛盾した、間違った税金の使い方だと思いますが、知事はどうお考えですか。
 以上、ご回答ください。  以上
                                                                    

〈参考〉 震災時に緊急出動するのは警察だけではありません
 県警は「震災等の大規模災害が発生した場合、多数の警察官の動員が必要となることから、集団警察力の確保を目的として警察職員宿舎の整備・運営」するなどと、災害対策を理由にしています。しかし大規模災害時に緊急出動・活動するのは警察だけではありません。
 国の防災基本計画や地方自治体の防災計画では、消防、医療、国・県・市の職員、民間企業、自主防災組織、各種団体、個人を含め、生存するすべての力を総動員して救命救助・救援活動に全力をあげることが定められています(*)。大規模災害時の活動を理由に警察官舎計画を正当化することはできません。
 
(*)川崎市地域防災計画「広域応援体制」より… 「災害による大規模な被害が発生、又は被害が拡大したことにより、本市の災害対応のみでは困難と予測される事態が発生したときに備え、広域応援体制を確立し、国、他都府県、民間企業、各種団体等への必要な応援、協力要請を行い、迅速な災害対策活動を実施する」
お久しぶりの更新です。
またまた、神奈川県警の宿舎整備計画が国の流れに真っ向から反することがわかったので、お知らせします。

◎「国家公務員宿舎を新規建設しない」は警察庁職員も対象です
 昨年12月に政府機関が発表した『国家公務員宿舎の削減計画』で、「従来宿舎が存在しなかった土地に宿舎を新規建設しない」という方針が盛り込まれたことは、すでにお知らせしました。
 また国の削減計画は、「福利厚生、人材確保のための宿舎整備は認めない」としています。財務省の説明では、この方針には、国家公務員である警察庁関係も対象になっているとのことです。しかも政府が東日本大震災の集中復興期間とした5年間は「従来宿舎が存在しなかった土地において新規に宿舎を建設することは原則行なわず、最低限の現地建替を行なう」という方針も、警察庁職員の宿舎が含まれているとのことです。(共産党・志位和夫室、石田和子川崎市議の調査で、財務省が回答)

 こうした国の動きからも、神奈川県警がやろうとしていることは、あまりに異常な公共事業です。

◎県単独事業の宿舎は「治安の位置付け低い」(警察庁の説明より)
 かつて警察庁の説明では、警察官舎には2種類あり、国が補助金を出して建てる『警察官待機宿舎』は、「都道府県から個々に要求があがってきたら、どこに建てるか、治安情勢、立地関係、周辺環境、遠いところでは通えないなど、上がってきたものをみて判断。交通アクセスも大事」とのことで、もうひとつは都道府県が全額負担して行なう『警察職員宿舎』と呼ばれて、「職業技術校跡地に予定しているのは県の単独事業」とのこと。
 そして、「県単独事業の宿舎は福利厚生の観点から県がやること」「位置づけで言うと、県の職員宿舎より(国の補助で行なう)『待機宿舎』のほうが治安の位置づけは高い」とのことでした。(共産党・志位和夫室、大庭裕子川崎市議の調査での警察庁の回答資料より)。

 最近の財務省の説明や、かつての警察庁の説明などからも、技術校跡地への宿舎整備は、いかに必要性が薄く、国の流れ、時代の流れに逆行した不要不急のムダな公共事業であるかは明瞭ですね。歴史に汚点を残す宿舎整備計画、今からでも凍結・中止すべきだと思います。

◎事実をまげて宣伝、推進する滝田県議って、どんな人?
 ちなみに、ここ数年、国と地方の財政難で『警察官待機宿舎』は全国でまったく建設されていないとのこと。官舎建設を推進している民主党・滝田県議は、技術校跡地への官舎が「治安の位置付けが低い」県単独事業の宿舎整備なのに、自身のビラで、国の補助がある「警察官待機宿舎」と言い換えています。事実をまげて宣伝をしてまで、なぜ巨大警察官舎建設に固執するのでしょうか。
 滝田県議のビラを見ると、「町内会の要望に応えた」などと言うばかりで、この人の中ではまるで3.11の大震災がなかったかのような感覚です。
 ◎「大地震等災害発生時の集団警察力確保のため」が理由ですが…
 下小田中町内会と久末町内会への県警施設課の文書は瓜二つの表現で宿舎整備の理由づけを次のように述べています。
「神奈川県警察は、大地震等災害発生時における集団警察力確保の観点から川崎高等職業技術校跡地に警察職員宿舎の整備を進めております」
「神奈川県警察は、大地震等災害発生時における集団警察力確保の観点から久末中小企業従業員共同宿舎跡地に警察職員宿舎の整備を進めております」
  この「宿舎整備の理由」に大義はあるのか検証したいと思います。
 
◎かつては「人材確保、福利厚生」と言っていました
 宿舎建設の理由について、これまで県警施設課は、「老朽・狭隘化が著しい職員宿舎の現状と有事における集団警察力確保の観点から」(町内会への県警施設課文書)、「①安心・安全の基盤整備に欠かせない集団警察力の確保のために巨大官舎が必要、②優秀な人材を確保するために福利厚生の充実」(08年12月、テレビ番組での県警施設課コメント)などと言ってきました。しかし今回は、「大地震等災害発生時における集団警察力の確保」だけを理由にして、宿舎整備を正当化しようとしています。
 昨年12月、国の方針では警察・緊急参集要員を含め、「人材確保、福利厚生のための宿舎整備は認めない」と決めたことは、すでに紹介してきました。
 
◎国の方針は災害時の参集要員に「職場に近接した宿舎を提供」
 国が昨年12月に発表した「国家公務員宿舎の削減計画」で示された「職務上宿舎への入居が認められる公務員の類型」は次の通りです。

①離島、山間へき地に勤務する職員
②頻度高く転居を伴う転勤等をしなくてはならない職員
③居住場所が官署の近接地に制限されている職員
④災害、テロ、経済危機、武力攻撃等を含め、政府の迅速な対応が求められる事件・事故等が発生した際、各省庁が定める業務継続計画(BCP)等に基づき、緊急参集する必要がある職員
⑤国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる本府庁職員

 上記の④が警察職員を含む分野ですが、その説明は次の通りです。
「緊急事態等が発生した場合、これに基づき各職員が緊急に参集する体制を全国において整えている。こうした職員(緊急参集職員)は、災害時によって、たとえ交通インフラや通信手段が遮断された場合であっても、迅速に登庁することが求められていることから、国は、これらの職員に対し、職場に一定程度近接した宿舎を提供することが必要である」。
 
 つまり国の方針は、災害、テロ等で緊急参集が必要な要員(警察関係)も含め、宿舎を認める場合も「職場に一定近接した宿舎を提供する」というのが基本です。その点で、下小田中と久末の新たな宿舎に入居する警察職員の勤務地はどこでしょうか。全員、中原署か高津署の署員ということでしょうか。
 国の『削減方針』は、日本が未曾有の大震災を受けて、国民感情に留意し、専門家集団が研究して出した公務員宿舎の考え方です。「国と神奈川県は違う」とか「警察は適用外」などと、例外扱いを強調しないで、この方針・方向性を受けとめて、神奈川県でも「いまのやり方でいいのか」を真摯に検証すべきです。
 
◎大震災は中原区と高津区だけに起きるわけではありません
 宿舎計画の最大の推進者である県議(民主党・滝田氏)が最近「大震災などが発生した場合、宿舎にいる警察職員たちは中原警察署に参集して活動する」などと言っているようです。そもそも大震災は中原区や高津区の一部地域に限定して起こるものではありません。
 滝田氏の理屈では、県民全体の安全確保に責任を持つ県警は県内すべての警察署の近くに職員宿舎を建てることが必要になります。実際は一部で老朽宿舎の廃止・売却が進められており、宿舎をなくす地域は大地震・大規模災害が起きないという判断でしょうか。
 
◎大規模災害時に活躍するのは宿舎の警察職員だけじゃない
 3.11大震災の日に下小田中一帯も停電で真っ暗になり、子どもから高齢者まで怖い時間を過ごしましたが、このとき、信号が消えて危険な「大戸小学校入口」交差点で、交通整理で頑張ったのは、警察ではなく、地元の個人タクシーの運転手さんでした。

 そもそも、大規模災害時に緊急出動、活動するのは、警察だけではありません。消防、医療、国・県・市の職員、民間企業、自主防災組織、各種団体、個人を含め生存するすべての力を総動員して救命救助・救援活動に全力をあげることが、国の防災基本計画や地方自治体の防災計画で定められています。
 「災害による大規模な被害が発生、又は被害が拡大したことにより、本市の災害対応のみでは困難と予測される事態が発生したときに備え、広域応援体制を確立し、国、他都府県、民間企業、各種団体等への必要な応援、協力要請を行い、迅速な災害対策活動を実施する」(川崎市地域防災計画「広域応援体制」より)
  
「集団居住を伴わなくとも…」大阪府警の評価でも
 既存宿舎の大規模改築を行なった「大阪府警寝屋川待機宿舎建替事業」について、府の事前評価審議では「待機宿舎そのものが被災する可能性や通信技術等の技術革新の進歩を考えると、必ずしも集団居住を伴わなくとも緊急的な初動体制を確保できるより効率的な代替手法についても今後検討していくべきではないか」との評価を下しています。こうした他都市の評価も参考にして再検討すべきではないでしょうか。
 
◎警察はすべてが「集団警察力」になりうる~警察庁の見解
 警察庁が説明する「集団警察力」の意味は次の通りです。
「そもそも警察という組織そのものが、何かあれば24時間365日、出ていかなければいけない組織なので、交番、警察署、いろんな部門の警察官が広い意味ではすべてが有事即応する『集団警察力』になりうる。『機動隊』があれば中原区の有事即応に対応できるとも言えないし、中原警察署に集まらなければいけない警察署員のことも念頭に置かないといけないし、『神奈川第2機動隊』も機動隊の任務を負っているから駆けつけなければならないし、県警本部にいる人は県警本部員としての任務のために本部に駆けつけなければならないというふうに、広い意味です」
(2009年7月、警察庁警備局警備課の説明/国会で大庭裕子市議〔共産党〕聞き取りへの回答)
 
 つまり、職員宿舎に住んでいようと住んでいまいと、いろんな部門の警察官が有事即応の「集団警察力」になる、「広い意味」で使われる言葉というのが、警察庁の見解です。
 宿舎を整備しなければ集団警察力が確保できないかのような神奈川県警の説明は、例外的な宿舎整備を正当化するためなら、自分たちの都合で警察庁の見解も歪めて構わないという態度です。「正義」の見本であるべき組織のやることとして残念でなりません。
 警察が大事な問題でこんな統制がとれない、見解を統一できない組織でいいのでしょうか。

 こんなに無理な理由づけをして、住民の反対世論を無視して、どうしてここに宿舎を整備するのか、1回きりの説明会開催で打ち切り、建設強行するつもりでしょうか。

(1月30日開催された住民説明会。本当にひどい計画内容が発表され、質疑を通して、警察職員宿舎を建てる大義も道理もないことが明らかになりました。この模様は今後報告したいと思います)
   国は昨年末に『国家公務員宿舎の削減計画』を発表しました(平成23年12月1日、国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会)。公務員宿舎に関する国の基本方針です。(以下『国の削減計画』という) 
  神奈川県警が中原区下小田中と高津区久末の県有地に建設を強行しようとしている警察職員宿舎整備計画がいかに国民感情にも国の流れにも相反する、時代逆行の公共事業であるのか、浮き彫りになります。住民説明会に向けて、連載で紹介したいと思います。
 
(その①) 「福利厚生、人材確保のための宿舎は認められない」
 国の『削減計画』の概要はまず…。
「1.国家公務員宿舎は真に公務のために必要な宿舎に限定し、主として福利厚生(生活支援)目的のものは認めない」
「2.東日本大震災の集中復興期間に当たる5年間は、原則として新規建設は行わない。この間は、極力、耐震改修等で対応し、建替を行う場合においても、新たな土地ではなく、現地建替を基本とする」
 これだけ読んでも、神奈川県警がいま技術校跡地に警察職員宿舎建設を急ぐことはあまりに異常なことだとわかります。この国の方針は昨年12月1日発表、県警が事業者と契約締結(12月26日)する直前に出ていたもの。その国の方向性にそって計画の見直しを行なうどころか、逆にそれが住民に知れ渡る前に慌ててレールを敷いてしまいました。

 『国の削減方針』本文は冒頭、「我が国の公務員宿舎は、戦後、物資に乏しい時代に生まれ、当時、その役割を十分に果たしていたと言えるが、現在の宿舎は、公務員の福利厚生(生活支援)的な側面も少なくない。住宅事情が変化し、また、長引くデフレ状態の下、社宅の売却、福利厚生の削減を行う企業も多い中で、宿舎自体の存在意義が問われている」と指摘。
 さらに「例えば『新規採用職員』について、福利厚生の色合いが強く妥当性を失っているとの指摘や、緊急参集要員については、実際には宿舎に入っていない人も多いとの指摘もある」
「国家公務員宿舎は真に公務のために必要な宿舎に限定し、主として福利厚生(生活支援)の目的での使用は行われるべきではない」
「新規採用職員については、民主党WTの提言において『福利厚生の色合いが強』いと指摘されており、人材確保等の観点だけからの宿舎の必要性は認められない」と続きます。
 
 今回の神奈川県警の宿舎整備計画は、中原区下小田中は世帯向けが180戸、人材確保の色合いが強い単身者向けが80戸、高津区久末は全部単身者向けで80戸です。
 「リクナビ2012」の「神奈川県警察本部」採用データでも、福利厚生欄に次のような宣伝があります。
「○住宅 横浜市内をはじめ、県内に独身寮が約850室、家族住宅が約1700戸完備されています。独身寮希望者はほとんど入居できますが、家族住宅については、空きがあった場合のみ入居できます。マイホームの購入に際しては、部内融資制度があります」
 県民の防災ニーズが急速に高まるなか、県警は「大地震等災害発生時の集団警察力の確保」などという理由づけを強調していますが、今回の宿舎整備計画も「福利厚生」施設以外の何物でもありません。
 公務員宿舎についての国の考えがどう変わろうと、建設を強行し、この職員募集広告の福利厚生欄に「下小田中、久末の新築物件」が紹介されることになるのでしょうか。

 特に下小田中周辺は、ここ数年の景気で福利厚生が削られ、苦心してマンションやマイホームに住んでいる大企業・メーカーなどのサラリーマンファミリーの急増地域です。このまま宿舎建設を強行すれば、地域住民からの批判・怒りがいっそう強まることは必然です。
(次回は、その「大地震等災害発生時の集団警察力の確保」について検証する予定です)

「いまどき、どうして?」「なぜここに?」の理由を聞くために…
みんなで住民説明会に参加しましょう
◎久末地区     本日(1月25日)夜7時~8時  会場:川崎めぐみ幼稚園
◎下小田中地区  1月30日(月) 夜7時~8時  会場:大戸小学校特別活動室  

 昨年秋、新日本スポーツ連盟神奈川県連盟の「跡地を防災公園に」との要望に、県警は「地域開放型で防災に配慮した公園の整備」を進めると回答したことについても、川崎市議会で取り上げていただきました。以下、その部分を紹介します。

◎大庭裕子議員
 県は「地域開放型で防災に配慮した公園の整備」という回答があったことを紹介しましたが、川崎市はこうした定義付けされた公園はないとのことです。9月の議会で、防災公園について質問をした際に、市は防災公園という定義付けはないが、防災機能を有する公園として関係局と協議していくとの総務局長の答弁がありました。防災機能を有する公園として位置づけるために、機能として必要最低限どんな設備や内容が求められると考えているのか、総務局長に伺います。

◎総務局長
 防災機能を有する公園についてのご質問でございますが、はじめに、本市では、平成23年3月に策定した地震防災戦略の具体施策の一つとして「公園緑地の整備推進」を掲げ、災害時の広域避難場所である富士見周辺地区、等々力緑地、生田緑地の3大公園の防災機能を高めることを目標として、位置づけたところでございます。 次に、具体的な整備内容の進捗状況についてでございますが、富士見周辺地区及び等々力緑地の再編整備計画に当たりましては、災害時の避難や救援活動、物資受け入れ等の拠点となるオープンスペースの確保を行なうとともに、延焼防止などの観点から緑化の推進を行なうことや、災害時には緊急車両による物資の搬入・搬出の動線の確保について関係局と検討しているところでございます。
 また、生田緑地につきましては、広域的な防災機能の確保に向けて、避難者支援機能、備蓄機能の充実などの検討を進めており、さらに、当該地内のゴルフ場の防災機能の強化に向けましては、ゴルフ場内を調査いたしました結果、コース上の平坦な場所に避難者用テントを設置できることを確認するとともに、2ヵ所にヘリコプターの臨時離着陸場として確保したところでございます。

◎大庭裕子議員
 川崎市においても防災機能を有する公園となれば、災害時の避難や救援活動、物資受け入れ等の拠点となるオープンスペースの確保等が求められるというものです。 
 県がいう「防災に配慮した公園」というものがどういうものか理解できるものではありません。少なくとも防災という名が付く以上、住民が納得できる公園であるべきと思います。
 今日(12月20日)の日経新聞によれば、国は大規模災害時に利用できる国有地情報を神奈川県内の自治体に提供すると発表しています。国は災害時の土地活用について対応しているのですから、県も呼応した動きを図るべきと考えます。 やはり計画は今からでも白紙にもどし、周辺住民の意見を聞いて見直すべきと思います。本市からも県に要請していただくことを強く要望しておきます。
〔川崎市議会2011年12月20日、大庭裕子議員(共産党)の質問より概要抜粋〕

《若干の解説》 
 防災機能を有する公園とは、この議会質問で市の総務局長が答えた通りです。
 技術校跡地は1万3700㎡という市内最大規模の公有地です。まさか、市の条例で義務づけられている提供公園(全体の6%)程度の広さで「地域開放型の公園を整備」するなどとは言えません。県や県警が市の条例を守るのは当然のことで、そこに県の努力は何もないのですから…。さらに、そこに「かまどベンチ」を設置する程度で「防災に配慮した」などとごまかすとしたら、とんでもないことですね。

 「地域開放型」というなら、従来、少年野球やサッカーができたグラウンド程度の運動広場が造られ、地域住民・子どもたちに開放されるのか。そうしたオープンスペースを確保して、総務局長が言うように、震災時の避難スペースや物資の受け入れ・支給の拠点、延焼遮断帯の確保、大規模な防災備蓄倉庫、耐震性防火水槽などを設置するのは、県警の最低限の社会的責任として当然のことでしょう。
 県有地のムダな使い方がされていないか、住民目線からの厳しい監視とチェックが必要です。近々公表される計画に注目したいと思います。

住民説明会に参加しましょう
1月30日(月)午後7時~8時  大戸小学校特別活動室
1月25日(久末地区)、30日(下小田中地区)と、2つの県有地への警察官舎建設について、急きょ住民説明会の開催が決まった背景には、12月に川崎市議会で私たちの訴えを受けとめてくれた議員の質問があったようです。そのやりとり(議事録概要)を紹介します。

2011年12月20日、川崎市議会での大庭裕子議員(共産党)の質問より抜粋
 
◎大庭裕子議員
 県立職業技術校跡地への警察官舎建設計画について伺います。中原区の下小田中と高津区の久末、2ヵ所の県有地にセットの事業として進められている警察官舎計画は、10月に警察官舎計画の優先交渉権者として「三菱倉庫」という会社が決まったとのことですが、地域住民のみなさんから「跡地利用について住民への説明や住民の声を聞く機会もないまま計画が進められるのは、公共事業としておかしい」との声が寄せられています。

 技術校跡地については、川崎市議会が県に提出した意見書の中で4項目の要望の一つとして「建設計画や進捗状況の詳細等について地域住民に対する情報提供に努めること」を求めています。川崎市としても県への予算要望書の中で「高等職業技術校など従来の利用形態に変更がみられる県施設や土地については、地域の実情を踏まえた有効活用が図られるよう充分な協議がなされるよう要望する」として、市議会と同様に「地域住民に対する情報提供に努めること」を要望しています。
 これら市議会や市からの要望に県や県警がどう応えているのか、この間、県または県警、町内会の主催による住民説明会の開催日、開催回数と延べ参加者数を、下小田中、久末それぞれについて伺います。
 
◎総合企画局長 神奈川県警察職員宿舎整備にかかわる地元への説明状況についてのご質問でございますが、神奈川県警へ照会したところ、下小田中地区での説明につきましては、平成19年8月から平成23年5月までの間に、26回実施したとのことでございます。また、久末地区につきましては、平成18年10月から平成23年5月までの間に6回実施したとのことでございます。
 いずれの回につきましても、参加人数につきましては、正確には把握していないと伺っているところでございます。
 
◎大庭裕子議員 
 
下小田中の技術校跡地について、個人の説明を含めて26回というものであり、説明会は校舎解体工事も含めた4回です。平成22年の3月が最後で、具体的な実施方針が出されて以降も、近隣の方に説明会の案内がポストインされて一般の方々に広く呼びかけた説明会は実施されていません。グラウンドの目の前に住んでいる方は、この7月に警察官舎建設の計画を知ったとのことです。
 そこで説明会についてですが、新日本スポーツ連盟が県に対して、技術校のグラウンドについては「花と緑のスポーツ防災公園の実現を」と要望していますが、県の回答書には、1つは集会所の設置、2つ目、地域開放型の防災に配慮した公園の整備、3つ目に近隣住民への日照についての配慮した計画、この3点が回答されていました。これは川崎市から意見書の中で要望した大事な内容でもありますが、「建設計画や進捗状況の詳細等について地域住民に対する情報提供に努めること」は回答書には明記されていませんでした。そのことで、説明会や意見を直接言う機会をつくらないのでは」「事業者まかせの説明会になるのでは」という声があがっています。
 市から県に問い合わせて、今後の説明会の計画や持ち方について、どのように応えているのか、県もしくは県警が責任ある立場として説明会に当然出席をすべきものと考えますが、伺います。
 
◎総合企画局長 県警察職員宿舎整備における今後の説明会等についてのご質問でございますが、神奈川県警へ照会したところ、施設の整備にあたり優先交渉権者の事業者に対しては、業務要求水準書において、住民説明会を開催して地域住民への説明を十分に行なうことを求めており、県警も同席する意向であると伺っておりますが、具体的な説明方法等につきましては、事業者との契約締結後、調整していくとのことでございます。
(このあと大庭議員は、「防災に配慮した公園の整備」について質問を続けました)=次回紹介予定

《解説》
 この議会での質疑の中で県警が「下小田中で説明を26回実施した」という回答については、だれに聞いても「そんなに説明会は開かれていない」「町会も含めて官舎建設の賛否を住民に聞くような説明会は開かれたことがない」という声があふれています。
 実際に「説明会」といえるものは解体工事も含め、4回しか行なわれていないことが明らかになりました。

 26回実施と言いながら、「説明会への参加人数は把握していない」という点も、いかにいい加減な説明経過であるかを自ら認めるものです。回覧板で一方的に流した文書や、ほとんど個人への説明なのか。
 この間、県警はだれに何を説明してきたのか、市内最大規模の貴重な公有地の使われ方が問われるだけに、民主主義の根幹である住民説明の経過について全貌を広範な住民に明らかにすべきではないでしょうか。
 


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